2021/5/16

記憶の蓋

・今月一人だけにんげんと面会した。彼女、Fちゃんは最強幸運少女だ。持ち前の運と、まあどうにかなるっしょ、実際どうにかなってきたし、という自信で、面接で切り抜けられる類のものは本当に強かった。本人曰く、強運とハッタリでどうにかしてきた結果、マジでなんもできないのに慶応の経営学の院に受かっちゃった、らしい。たまたまコロナで試験が面接だけだったからどうにかなったらしい。最強である。

・しかしそんな彼女もついに人生で壁にぶち当たったそうだ。まっっったく授業についていけない。もう本当に何言ってるかわからん。ぼんやりクラブに行ったり飲み会をしたりする大学生だったのに、周りは上場企業の幹部だった人や元CA、20年前に東大を出ましたが学びなおしに、と入ってきたような人ばかりだったそうだ。

・初めの2週間はオンライン授業だったらしかったが、感想を尋ねたところ
「旅行から帰ってくる飛行機が墜落しちゃって、生き残ってとりあえず近くの建物に入ったらなんか授業をやっていて、いる場所がなかったから教室内に何となく足を踏み入れたらその瞬間に入ってきたドアが施錠されて出られなくなってしまった。仕方がないから、カバンに入っていた、旅行先で買ってきたお土産を食べながら後ろの方から人々が授業を受けるのをなんとなく見ている、みたいな状況」とのことだった。よくできた悪い夢かと思ったが、その状況ならむしろ夢であってくれと思うだろう。

・授業内容は英語で書かれたケースを分析して議論を行うらしい。そのための事前準備が宿題として課されるのだが、それがもう莫大で寝ずにやっても終わらない。あんまねてないから授業中にロボコップ。本気で聞こうとするのになにがわからないかわからないくらいわからないからすべての瞬間がプールの後の数学の授業のように聞こえる。

・結果、彼女はいったん休学し、その間に自主学習を行うことにしたそうだ。
がんばれ、Fちゃん。